キャッチーなメロディー・ラインと心にスーっと沁み入るリリックは、どこか青臭く、懐かしく、そして純粋無垢で脳裏に焼きついて離れなくなる。
1stアルバムとなる『SALE』が2007年9月5日にリリースした“おとぎ話”は、時に激しく、時にスローに、そして何より甘く切なく、誰もが口ずさめる楽曲が『SALE』の中には詰め込まれている。
一見サイケデリックなサウンドをガンガン繰り広げているのかと思いきや、実際はポップ・ソングが満載である。直ぐに脳裏に焼きつくメロディー・ライン、少し入り雑じるサイケデリックなカラー、それでいて新鮮な楽曲の数々はライヴがとても楽しそうな雰囲気も感じ取る事が出来る。
一枚を通して聴いても飽きがこないアルバムであるのも確かである。と言うのも、丁度いいバランス感覚を、アルバム全体を通して考えて作られているからである。
2曲目の「おとぎ話の空」では“あぁ、いつか変われる時が来る そう信じて過ごす毎日”と唄う。誰もが感じている過去の絶望感と、未来への願望、そのどちらもが抱かれていて、且つ、誰もがそう感じた事が一度はあるのではないだろうか。この楽曲を聴いた人は、リリックに感銘するだろう。
9曲目の「new song」でも“遥か彼方を目指す僕等は いつも転んでばかりいるのさ”と唄っている。人間生きていれば何かしらにつまずく。つまずいてもがきながら必死になって生きる・・・そう、人間とは誰もがそういう生き物なのである。
このアルバムはとても身近な事が描かれていて、誰もが頷ける内容に仕上がっている。“おとぎ話”の様で、実はおとぎ話しではない現実がそこには詰められていて、リスナーの心に届きやすい楽曲が沢山収録されている。
(文:磯山みゆき)
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