11月23日に渋谷AXにてLOST IN TIMEのワンマン・ライヴが行われた。会場は隙間が無い程の超満員。切ない歌詞、けれども力強く響く歌声には涙が零れ落ちてしまいそうな楽曲がこの日はたっぷりと披露された。
静寂の中登場したLOST IN TIME、
「旅立ち前夜」からライヴが始まった。
"目の前の大きな壁にぶつかっても 頑張れよ負けるなよ"のフレーズが深く心に響いた、とても素晴らしい楽曲からの幕開けとなった。今までの彼等のライヴを観て来た中でも真摯な力強さを感じられる。素直に目頭が熱くなった。
2曲目は
「証し」。何だろう?この変貌ぶりは!?!ライヴを観て鳥肌が起ったのは久方ぶりだった。今までのLOST IN TIMEとは違う、確実に何かを飛び越えた感触が伝わってくるのだ。勇ましさだろうか・・・?全面的にエナジーが押し出されたライヴ、ファンも感極まっているのが良く分かる。今まで切なさが際立っていたLOST IN TIMEとは違うのである。これが本物の強さなのだろう・・・そう思わされてしまった。
3曲目の
「約束」ではギターの迫力が全開。歌声もそれにプラスされてすさまじく白熱していた。会場中のファンもここまで来ると感情を隠せずにはいられなかった。これがライヴというものなのだろう。
4曲目
「誰かはいらない」では曲名からしても感じられたが、今、現代では孤独を感じている人々が多い様に思う。誰でもいいから側に居て欲しいと思う人も多いだろう。が、
“誰かはいらない”のである。人間と適当に向き合いたくない感情が詰まっている一曲、ライヴで是非とも堪能して欲しい。
5曲目の
「雨が上がって」、この季節に最も似合う1曲、
“気持ちは溢れているのに どこかで怖がっている自分自身を追い出せない”、誰もが抱えている様なフレーズが胸の奥深くまで突き刺さってきた。いつか雨はあがるんだ・・・と思わせてくれる一曲である。
6曲目
「最後の一球」では人間の心は後悔で出来ているのだろうか?きっと誰もがこんな思いを抱いた事があるに違いない・・・ライヴ会場でもズシリと響いていた一曲だった。何て切ないメロディーと歌詞なんだろう?これぞLOST IN TIMEの真骨頂と云わんばかりの一曲、後悔をして、またひとまわり大きくなるけれども、後悔をする生き方もしたくない・・・そう思わせられる一曲でもあった。
海北大輔氏がMCでこう語った。
“みんなお待たせ!久々のワンマンです。前の人、後ろを見て下さい。沢山の人々です!!”彼のこの一言で、喜びが隠し切れない素直な言葉を受け取る事が出来た。観ている方もとても嬉しかったに違いない。そして何よりも胸に響いた海北大輔氏の言葉がこれである。
“源ちゃん、ずっと一緒にやってこうな”。とてつもない愛を感じる事が出来た。
そして7曲目
「されど犬走る」が始まった。手拍子が客席中から巻き起こる。ゆったりとして、ほのぼのとした雰囲気が漂うこの楽曲にはほんわかとさせられた。
“僕はロックをやっておりまして、ロックが優しくなり過ぎた様に思ってます。どうにかこの歌の気持ちが伝わればいいなと思った曲を歌います”と海北大輔氏が告げた後に始まった曲が
「カッターナイフ」である。
“どうやら私はあの人と仲直り出来ません”“ごめんなさいが届かない 私は誰に謝ろう・・・”ズシリと響くシュールなナンバーではあるが、誰もが経験した事のある歌詞が描かれている一曲だろう。大切な人にごめんなさいが届かなかった事はありませんか・・・?大切な物は失った後で大切だったと気付くもの、そうならないで欲しい・・・そんなメッセージ性も詰まっている素晴らしい楽曲だと思う。ただ単にダークなんじゃない、実際に聴けば分かる・・・そう、聴けば分かる一曲なのである。
“人前で何も持たずに立つ事がこの上なく僕は恥ずかしい。そういう気持ちで楽器を持って今まで唄ってきました。色々な町に行き、色々な人に出会い、そして、別れた。。。憧れだったあいつや、あの人にはなれなかった。でも、一つの居場所を見付けました。それがメンバーであり、ファンみんなです。だから、このまま僕は突っ走って行こうと思います。もし、今日が別れの分岐点なら、この一曲を送ります”海北大輔氏がそう告げた後にNEWアルバムに収録される
「然様ならば」がプレイされた。
私はこの楽曲を聴いて涙がこぼれた。
“然様ならば 然様ならば 君の幸せを願う”。他人の幸せを本気で願う事は難儀な事である。人間は自分の幸せを一番に考える生き物だから。。。でも、この楽曲は本物の愛が詰まった一曲だった。
“再び出会う事がなくても・・・”心に突き刺さるフレーズ、ピアノと歌声のみで披露されたこの楽曲が、この日、一番心に沁み入った新曲だった。2007年3月2日発売のアルバムに収録されるこの楽曲を多くの人々に聴いて貰いたい・・・そう思う。あなたは誰かの幸せを本気で願う事が出来ますか・・・?
すすり泣く声が観客から聞こえた一曲、現代は愛に飢えている様に思えるけれども、実際は愛に気付いていないだけなのである。先ず、誰かを心の底から愛して欲しい、そうしたら、本当の愛を知る事が出来るから・・・。
名曲が続き、15曲目に
「ココロノウタ」が演奏された。
“悲しいことが悲しい訳じゃなくて 悲しいと言えない事が悲しい”。いつも思うのは、どの楽曲もLOST IN TIMEは歌詞が深いのである。そして、ネガティヴに思われがちだが、全くそうではないのだ。ポジティヴな感情を露にしている姿勢こそが、ホンモノなのではないだろうか・・・?
海北大輔氏は最後のMCでこう言った。
“今日が出発点です。走るとか全力でやるとか、正直どっかでカッコ悪いと思っていました。でも、どっかでそういう人に憧れてたんです。もう迷ったなんて言いません、突っ走ります、だからみんな、ついて来てよね!!今日のライヴで一つでも何かを持ち帰って欲しい!みんな、また会おう!!”。実に素晴らしいじゃないか!!ついて行こうじゃないか!!ファンを裏切るアーティストではない・・・きっと会場中のみんながそう思ったに違いないライヴは
「あなたは生きている」で幕を閉じた。
“色々、あるけど あなたは生きている”・・・実に素晴らしいステージだった。
昔から何度も観てきたLOST IN TIMEのライヴ、正直物足りなさを感じた事もあった。が、この日のライヴを見逃した人は本当に残念だったと思う。客観的から見ても主観的から見ても、とにかく素晴らしいライヴだった事には間違いない。
2007年3月2日にはニュー・アルバム
『さぁ、旅を始めよう』が発売される。このアルバムは音楽を愛する、ロックを愛する人々全てに聴いてもらいたい作品だ。
(文:磯山みゆき)
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