2005.3.16にNew Album『ヘッドフォンチルドレン』をリリースするTHE BACK HORNを独占インタビュー!!THE BACK HORNの始まりから新作について・・・彼等の魅力がギッシリ詰まったロング・インタビュー、どうぞお見逃し無く!!
■THE BACK HORN独占インタビュー
――まず上京するきっかけからお話聞かせて下さい。
松田(Dr.)――ずっと福島に住んでたんですけど、いずれ東京に行きたいなって言うのがあって、小学校の頃に「東京ラブストーリー」を見て、東京は色んな運命が起こる街なんだなぁと思いまして、ちょっと街角ですれ違った人と恋愛が出来たり、すれ違いが一杯あって、愛が育まれてく街なんだなぁと思いまして(笑)これは行くしかないと思って、高校卒業してすぐ行こうとしたんですけど、色々事情がありまして、そのまま就職する形になって、高校卒業してから一年地元で就職して、でもどうしても東京に行きたいって言うのがあり、高校の時にバンドをやってたので、バンドで一旗をあげると言う名目もあり、でも東京に行きたいって言うのと、バンドで一旗あげたいってのは半々位ずつで、それで東京に来ました。
――実際、愛は見つかりましたか?(笑)
松田(Dr.)――無いです。
菅波(Gt.)――無い・・・(笑)
松田(Dr.)――(笑)東京に来て暫くそう言う事が無くてですね、こりゃヤバイなって友達と相談して、自分から探しに行かなくてはダメだって事で、自分から積極的に行ってました(笑)
――(笑)今は順調ですか?愛も含め・・・(笑)
松田(Dr.)――そうですね・・・(笑)でも結果的にやっぱりTVの世界なので(笑)そんな事が本当に起こってたらいいですけどね。「きまぐれオレンジロード」みたいな感じで、角と角でぶつかってチューしちゃったみたいな(笑)
(一同笑)
菅波(Gt.)――あるよね(笑)そう言うのね(笑)
松田(Dr.)――そう言うのは無い・・・ですね(笑)
松田(Dr.)――でもやっぱ、田舎者はそう言うのを抱くんですよね(笑)何かあるんじゃねぇかって。
――私も田舎者なんで分かります(笑)
松田(Dr.)――あ、そうなんですか(笑)でもやっぱ、自分から何とかしないと駄目なんだなってのは、もぅ、早々に気付きましたね(笑)
――なるほど(笑)有難うございます。
菅波(Gt.)――俺はですね、バンドをやろうと思いまして、凄い売れるバンドをやろうと思いまして、売れるバンドをやるにはメンバーが大事じゃないですか。一人じゃ売れないと思ったので、その時にやっぱ、売れる様な事が出来る人は、やっぱお洒落な東京に居るのかなと思ったわけで。
(一同笑)
松田(Dr.)――田舎の福島には居ないなって(笑) 菅波(Gt.)――田舎の福島には売れる様な奴は居ないはず。
松田(Dr.)――でも、それは鋭いね。
菅波(Gt.)――鋭いべ。
岡峰(Ba.)――田舎もんばっかし見つけてんのに(笑)
(一同笑)
菅波(Gt.)――あはは、そう(笑)これから全員田舎もんですって言うオチがあるんだけど(笑)それで、東京に来ました。
――一人では売れないって言うのはどうして思ったんですか?
菅波(Gt.)――うん、、、。いや、冷静に。
メンバー全員――あははははは(爆笑)
――やっぱりバンドにこだわりがあったって事ですよね?
菅波(Gt.)――こだわりはありましたね。バンドがやりたいって言うのはありました。
――有難うございました。では岡峰さんお願いします。
岡峰(Ba.)――大学で来ました。東京行くって言う名目で、大学に行ったんです。ただ東京に行きたいって言うのは距離的に難しい物がありまして。
――大学をきっかけに上京する、と。
山田(Vo.)――大学に行くって名目で東京に来たんだべ?
岡峰(Ba.)――そうそう、大学に行くって言う名目で。東京に行くって言う名目じゃないわ。
――それ以外では目的はなく?
岡峰(Ba.)――まぁ、4年間あったら何かあるだろうと思って。思ってたら、ソッコー辞めました(笑)
――(笑)有難うございました。では、山田さん、お願いします。
山田(Vo.)――高3の時に何やりたいのかなと思って、で、歌唄いたいなぁ・・・位のノリで、唄える専門学校に行こうと思って行きました。
――専門学校で、歌を学んでたんですか?
山田(Vo.)――学んだと言うよりも、専門学校でこの3人(岡峰氏を除く)は組んだんです。基本的に授業はあんま出てなかったですけど。
――そうなんですか(笑)
山田(Vo.)――ここの3人は、入学した次の日位に逢いましたね。
――逢ってすぐにバンドやろうって言う話になったんですか?
山田(Vo.)――そうですね。
――フィーリングみたいなものですか?
菅波(Gt.)――いや、違ういます。
松田(Dr.)――違う・・・って(笑)
菅波(Gt.)――いや、フィーリングはあんまり分からなかったんですけど、俺がバンドを組むために出て来てたので、誰かに手つけられる前に、自分が手つけないとって言う気持ちが人一倍あったので、友達になってからとかって言うプロセスは一切抜きにしてバンドを始めたくて、初めて声を掛けた時にバンドやろうぜ!って言いましたね。
――すんなりOK貰えたんですか?
菅波(Gt.)――割かしすんなりOK貰ったんだけど、そん時はみんな腹ん中では、駄目だったら辞めりゃーいいやーみたいな事は思ってたらしいですけど(笑)その気持ちのおかげで組めて良かったですね。
――なるほど。岡峰さんが出会ったきっかけはいつ位に?
岡峰(Ba.)――メジャーデビューする前に、前のベースの平林君が脱けるっつー話で、そこでライヴハウスからの紹介を受けました。
――その時もすんなりOKを貰えたんですか?
岡峰(Ba.)――いや、俺がやりたいって言いましたね。
――その時メンバーの皆さんは?
山田(Vo.)――色んな人とスタジオ入ったんですけど、ベースの候補にあがってた人と。その中でも光舟が一番トータル的な面で一緒にやってく事を考えたら、こいつだってなりましたね。一緒にやって行けそうな人を探した感じはありましたね。
――なるほど。岡峰さんが加入する以前の話になりますが、今のバンド名になる前にはいくつか候補があがってたりもしたんですか?
松田(Dr.)――最初は“魚雷”って名前でやってたんですけども、まぁ、二ヶ月位ですかね。いよいよ曲とかも出来てきて、本格的にやってく時に、一回見直そうって言う会が開かれまして、“魚雷”って付けたのも俺だったんですけども、まぁ、ちょっとこれはぁ、、世の中的にこれでずっと行くのはどうかみたいな話になって。
菅波(Gt.)――全然世の中出てなかったけれどもね(笑)
(一同笑)
松田(Dr.)――(笑)まぁ、これから行くと過程した時に(笑)まぁ、もうちょっとカッコイイ方がいいかーなんて言う感じで、じゃ、バックホーンて言うのはどう?って感じで出したんですよ。それは、俺の中ではキャッチーだなって言うのもあったんですけど、響きが。それは元々、ショベルカーを別名で“バックホー”って言う後ろの桑って言う意味で呼んでたんですけど、それを何を勘違いしたのか、俺は“バックホーン”って呼んでたんですよ。それだったら色んな物を壊したり、また作ってくみたいな意味もあるからいいんじゃないのー?なんて言ったら、あーいいねー!みたいな感じで。
――それ以外に候補があがってたわけじゃないんですか?
松田(Dr.)――無いっすねー。何となくつけちゃって、何となく続いてた・・・みたいな。
菅波(Gt.)――でも、結構良かったよな、バックホーンで。ホントになんか、わかんないけどさ。
――“魚雷”じゃ駄目ですか?(笑)
菅波(Gt.)――“魚雷”も結構好きっすけど、バンドの方向も変わってたんじゃねーかな。
(一同笑)
菅波(Gt.)――みんなスキンヘッドとかになってそうな・・・(笑)
(一同笑)
山田(Vo.)――イメージ付けされっかんな、響きで。
菅波(Gt.)――名前にも引っ張られっとこあっからね。
松田(Dr.)――でも、今となると結構普通のバンド名と思いましたね。世の中に出た時に、結構キャッチーだなと思ってたんだけど、やっぱり、それこそ、うちの同じレーベルの“くるり”とか“レミオロメン”とかの方がどうなんだ?って感じありますからね。今となっては正統派な名前かなと思いますね。ありがちだけど居ない、みたいな。
――バックでホーン楽器が鳴ってるイメージが強いですけどね。
松田(Dr.)――みんなホーンが入ってるバンドなのかなって思うんですけど、どっちかって言うと、角って言う意味合いで捉えてましたね。結構野獣系な感じで。あと、もうちょい後から意味付けされたのが、爆音と近いからいいかなと、後からこじつけて・・・(笑)
菅波(Gt.)――言い始めまして(笑)
松田(Dr.)――やっぱ、熱くこう、やっぱりバックホーンに何票入って、あー、、、例えばなんか、、、ジャクソンに二票とか、、、
菅波(Gt.)――(爆笑)ジャクソンはやだよ、俺(笑)
―― あはははははは(一同爆笑)
菅波(Gt.)――なんかやだよ(笑)
松田(Dr.)――(笑)まぁそう言う熱い審議が交わされたわけではなく(笑)
―― あはははははは(一同爆笑)
――(笑)今、ジャクソンって名前が出てきたって事は、その候補も実はあったって事ですか?(笑)
松田(Dr.)――そうです。
(一同笑)
菅波(Gt.)――あぶねー(笑)
松田(Dr.)――ジャクソンとか、そう言う、、、(笑)
菅波(Gt.)――ジャクソン・・・(笑)だって、人の名前・・・(爆笑)
(一同笑)
松田(Dr.)――名前かよ(笑)まぁ、何でも良かったんですけど。
――ジャクソンだったらまた方向性が・・・(笑)
松田(Dr.)――またちょっと違ってましたね(笑)
――バンドでやって行こうと皆さんが決断した瞬間はいつでしたか?
松田(Dr.)――やっぱり最初、曲が出来てきて、もう外でライヴをやる様になってからこれだって言う決定的な瞬間はみんな無かったと思うんですけど、じわじわと曲が一杯出てきて、ライヴハウスでやる時に、俺等もうちょい真剣にやんなくちゃマズイなって話になってきて、どんどんのめりこんで行った感じですね。多分、そうですね。
菅波(Gt.)――みんなそうですね。
――ライヴをやり始めてから、バンドで食って行こうって言う気持ちが芽生えたって事ですか・・・。
他の職業って考えた事ありますか?
メンバー全員――うーん、無いですねぇその頃は。
松田(Dr.)――今の方が副業で、どう言うのがあんのかなみたいなのをたまに考えたりしますけど(笑)
菅波(Gt.)――今の方が考えるよな(笑)
松田(Dr.)――何が金になんのかなって言うのは、今の方が考えるよな(笑)
菅波(Gt.)――絵本じゃね?やっぱ!・・・みたいな(笑)
――絵本出すご予定は?(笑)
菅波(Gt.)――いやいや、無いっす(笑)
松田(Dr.)――当時はやっぱバンドで。自分達の実力とかで生活して行けるのかって言う状態でも無かったですから、当時は。取り敢えずもうビラ撒いてお客さんが何人増えるかって言うのが勝負でしたから。
――あぁ、、、結構ビラ撒きとかは頻繁に?
メンバー一同――そうですねぇ。
松田(Dr.)――その頃から思考をこらしてフライヤー作ったりとか。でまぁ、半年後位にレコードメーカーの新人開発部みたいな所に所属していて、そこで取り敢えずふんだんにコピーだけはしてもらって(笑)あと、デモテープもふんだんにコピーして、合計5000本位はあそこでタビングしたんじゃねぇかなって位、あそこに居ると絶対バックホーンが居るって言われる位・・・(笑)
(一同笑)
菅波(Gt.)――まぁでも、バンドやってたから苦しいって言うよりも楽しかったですけどね。
松田(Dr.)――なんかママゴト的って言うか、本当にそう言うのも楽しいって言うか、テープ作って、一本売れたら嬉しいし。
――その過程も楽しいって事ですよね。
松田(Dr.)――ですね。
――今、バンドと言う形態ですが、実はソロでやりたかったって言う人は居ますか?
菅波(Gt.)――俺は無いっす。
松田(Dr.)――無いっすね。
山田(Vo.)――無いっす。
菅波(Gt.)――光舟あったらビビんなー(笑)
岡峰(Ba.)――ベース一本で(笑)
菅波(Gt.)――ベース一本でやりたかったのーとか(笑)
岡峰(Ba.)――はなわより先に出来たな(笑)
(一同笑)
――バンドのどう言うところに魅力を感じますが?
山田(Vo.)――バラバラなのが合わさった時の気持ちよさみたいなのじゃないですかね。違う楽器と違う気持ちの人達が・・・気持ちってあの、違うプライベートで生活を送って染みついてる物が違う人達がって言う意味で・・・
――それが一つになった時が気持ちがいいって事ですか?
山田(Vo.)――じゃないかなぁって思ってるんですけどね。
松田(Dr.)――あとやっぱりその、バンドじゃないと作れない曲とかあるじゃないですか。まぁ、それは一人でも普通に出来るんじゃないの?って思う人は結構居ると思うんですけど、やっぱりバンドで四人集まってるから出来る曲とか、出来る演奏とか、そう言うのがやっぱり一番醍醐味かなって言うのはありますね。一人だったら全然やる気しなかったり、欲も燃えなかったものが、みんなでやって繋がるといいとか、まぁ、その分面倒臭いものも増えるんだけど、結果的にはいい物の方が超えるから、面倒臭いのもいいって最終的になると思うんですけど。
――実際、今のパートから外れて、この楽器を実はやってみたかったんだよなぁって言うのは無かったんですか?
菅波(Gt.)――リズム隊はちょっとやってみたいなと思いますね。ドラムかベースか。やってみたいって言うか、自分がやってる事以外にも目が向き始めてから興味が湧いたって感じですかね。ドラムは楽しそう、、、面白いなぁ、ベースも面白いなぁみたいな気持ちにはなりましたね。
松田(Dr.)――今後ベースとギターが変わる可能性もあんの?
(一同笑)
菅波(Gt.)――あれ?良く見たら違うもん持ってるよお互いに!・・・なんつって(笑)
松田(Dr.)――ドラムとヴォーカルが変わる事はぁぁぁぁ・・・!?
山田(Vo.)――あるかも知れないよ?(笑)
岡峰(Ba.)――まぁ、音源化してるもんね。
松田(Dr.)――あ、そうか!
菅波(Gt.)――わりぃけど売れねぇよ?先に言っとくけど(笑)昔のシークレット・トラックで、そう言う入れ替えたバンドはやった事あるんです。
山田(Vo.)――オレ、ドラム叩いてたっけ?・・・叩いてないけど入れ替えはやったな。
――今後入れ替えの予定は?(笑)
岡峰(Ba.)――真面目な話では無いな(笑)
松田(Dr.)――真面目な話になるとしたら、もうホントに、最後のジョーカーみたいな感じで、最終的な刺激を味わいたくなった時に・・・(笑)
岡峰(Ba.)――自分等が(笑)
(一同笑)
松田(Dr.)――そう、自分等が(笑)そうなったら有りえっかなーってのはありますけど、今んとこまだ大丈夫っすね(笑)
――はい(笑)では、メジャー・デビューした時の心境をお聞かせ下さい。
菅波(Gt.)――丁度、インディーズん時に一緒にやってたベースが抜けたのがそのタイミングで、メジャー・デビューが決まってて、シングル出す事も決まってて脱けたので、メジャー・デビューが何だって言う感慨を味わってる暇もなく、いきなりピンチみたいな。なので、そのタイミングは特に感慨深いものは無かったですね。
――嬉しいって言うよりも・・・
菅波(Gt.)――逆にその、大変だわ、これから・・・みたいな・・・
松田(Dr.)――幕が開けたのはいいけど、本当にお先真っ暗みたいな状態ですから。
山田(Vo.)――いきなり嵐の海からスタートで、、、
松田(Dr.)――そうそう(笑)しかも、それをいい事に、レコードメーカーは俺たちを合宿に置いてけぼりにしまして。
(一同笑)
松田(Dr.)――考える暇も無く山中湖に引っ張ってって置き去りですよ、3人。
(一同笑)
松田(Dr.)――で、ヒデーよな〜とか言いながら、俺等3人でブツブツブツブツ文句、、、、、、、、、、殆ど文句ですよ(笑)
(一同笑)
松田(Dr.)――もうどうすりゃいんだよ!?みたいな(笑)でも、そこで一応自分達はやるって決めたわけだから、本当はこう前向きに行かなくちゃいけないんですけど、チキショー!!・・・って、曲が出来るにこした事はねぇーかって作っては居たんですけど、そう言う始まりだから、メジャー・デビューって言うのが階段だとしたら、やり遂げたねぇ、ここまで来たねぇ、、、みたいなドラマチックな感じも無く、、、
――どっちかって言うと辛い思い出・・・?(笑)
菅波(Gt.)――辛いって言うかもー・・・ま、辛いって言うか、そんなに楽しい思い出じゃないですよ、メジャー・デビューは。
(一同笑)
松田(Dr.)――それまでは結構楽しみにしてたんだよな(笑)
菅波(Gt.)――そうそう(笑)楽しみにしてたんだけどな(笑)
――どの位山中湖に置き去りにされてたんですか?
松田(Dr.)――一週間位だよね?結構居たよね?でずーっと雨降ってるでしょ、外は。
菅波(Gt.)――なんで雨降んだよ〜!みたいなな(笑)
山田(Vo.)――まんまと“雨”って曲が出来たよな(笑)
――じゃ、部屋に閉じこもりっきりの一週間だったんですねぇ・・・
松田(Dr.)――逆にそれ位やんないと、デビューしたのはいいけど、クソ力って言うか、追い込まれないと曲も出来なかったし、バンドも進んでなかったと思うし、今となれば凄い良かったなと思いますけどね。
――追い込まれた方が曲が生まれますか?
松田(Dr.)――いや、活動がそれで、そう言う風になった事によって止まらなかったから、例えばそこでもうちょいケアされて、じゃぁ色々考える?なんて言うのをやってたら、じゃ、もういいかー辞めようかーってなってたも知れないし、でもお前ら一回やるって言ったら行けよー・・・みたいな感じになったんで。。
――それはもうスタッフ無しの置き去りで?
松田(Dr.)――もう居ないっすよ。マネージャーとかも帰ってましたし(笑)
――なるほど(笑)メジャー・デビューに余りいい思い出が無かった様ですが、バンドとして手応えを感じて来たのはいつ位からですか?
松田(Dr.)――やっぱり今のバンドで手応えを感じたって言うのはぁ・・・なんだべなぁ・・・。やっぱりワンマンツアーをやった時とかは、ま、光舟はまだメンバーじゃなかったんですけど、今のメンバー間とかもようやく馴染んで来たし、バンド自体も一歩前へ踏み出せた感じがあったから、それの時とかが一歩前へ踏み出せたかなぁようやくって感じはありましたね。
岡峰(Ba.)――明らかにクアトロの歓声は凄かったもんね。ドワーーーッ!!・・・みたいな。
松田(Dr.)――え、俺等?って(笑)
(一同笑)
山田(Vo.)――初めての感覚だったもんね。
岡峰(Ba.)――でも、あのライヴも良かったよね、今見ると。後半バテバテだったね(笑)
(一同笑)
――クアトロは人気ありますけど、やっぱりやりたかった場所ですか?
松田(Dr.)――いや、何処でも!
菅波(Gt.)――割りとそう言うのねぇよね、俺等。
松田(Dr.)――その前にシェルターでワンマンやって、で、ロフトでやって、で、クアトロで・・・って言う風に来たって感じですね。
――なるほど。では、ニュー・アルバムの事についてお聞きしたいんですけれども、まずジャケットの方ですが、今まで黒バックの物が多かったですけれど、今回白バックでとてもメタリックで鋭角的な感覚が強いなって感じがするんですが
松田(Dr.)――そうですね。
――今までのに比べると、意外とシンプルな感じがしますが、収録されている楽曲とは正反対なイメージが描かれている部分もある様な感じもするんですけれども、これはどう言うコンセプトの元に作られたんですか?
菅波(Gt.)――『ヘッドフォンチルドレン』と言うアルバムタイトルのコンセプトと同じなんですけど、アルバム・タイトルになった『ヘッドフォンチルドレン』って言うのは、街でヘッドフォンをして歩いている時の様に、そこで生きている実感が薄くて、コミュニケーションも希薄で、色んな人に囲まれて生きてるのに、関わってる感覚が凄く薄いみたいな世代って言うか、そう言う言い方で『ヘッドフォンチルドレン』ってのがあって、それはそのアルバムのメタリックな印象の部分で、でもそこから殻を破って行けよ!・・・って言うよりは自分等がそうだから、まずは自分等がそこの殻を破って世界と関わって行きたいみたいな意思表示もあって、その打ち破って行く感じが、その上に(ジャケット参照)バーってなってる『ヘッドフォンチルドレン』て言う字の爆発感で、それがコンセプトでありますね。
――なるほど。
松田(Dr.)――あともう一個、逆に正反対って言う部分で言うと、アルバムの印象も尖った印象があって、鋭角な、バンド感が剥き出しって言うか、今まではドス黒い部分をジャケットで出してきたり、バックホーンらしさみたいな、気持ち悪さみたいな、何者だか分からない得体の知れない感じを出して行こうって言うのもあったんだけど、今回は逆にその鋭角な部分と、ドス黒くないもうちょっと白いイメージ、「キズナソング」とか「奇跡」の部分とかをジャケットにも出して行って、でもバックホーンの持っている鋭角な部分、尖った部分て言うのも出して行きたいって言うのがあって、さっき栄純が言った『ヘッドフォンチルドレン』て言うイメージと、アルバム全体のサウンドのイメージが合体して、今までになくハイクウォリティーで
――ハイクウォリティー・・・うんうん。
松田(Dr.)――ジャケットがね(笑)あのー、何だろ、、、すげーポップなんだけど尖ってて何じゃこりゃーみたいな感じがあるって言うバランスが凄く良くて。やっぱりジャケットも今まで自分達でやってきたり、色んな人にお願いしたりって言う歴史があって、何かここで一個凄いのが出来たなぁって言うのがあって、新たなバックホーンのイメージがジャケになったって言う実感もありますね。
――今回はこう言う路線で最初から行くと・・・?
松田(Dr.)――はい。取り敢えずその、永戸さんて言うクリエイターの人がバケモンみたいな人なんで・・・バケモンみたいな人っつーか、バケモノじゃないんですけど(笑)その人が作る作品がバケモノみたいなもんなんで、その作品を見た時にこれはすげーな!!と思って。それともう一人、アイスランドのヨハンて言う人が下地と言うか、ヘッドフォンのイメージをデザインしてくれてて、それとの融合がCDでは色々あるんですけどね。
松田(Dr.)――今までは自分達で絵を描いたりしてやってたのを、今回は全部人に任せながらもバックホーンらしいし、更に新しいしって言うのが出来て、他の人も信じられるもんだなぁって思いましたね。これもまたいいっすよ。
――そうですね、斬新で真髄を突いてる感じですね。今回のアルバムはギターの厚みが増して、アルバムとしてよりヘヴィーな感じに仕上がった様にも思いますが。何か心境の変化があったんですか?
菅波(Gt.)――根本的には、根底にあるものは特別変わってなくて、毎年こう、自分は変化して行くわけじゃないですか?そのドキュメントも含めた新しさもあるし、でも、根本は変わってないみたいなのは毎回変わらないですけど、今回特別言えるのは「キズナソング」とかで目指した、今までより外にひらけた物が書きたいって言うのがあったんですけど、そう言う部分と、混沌とした心境を生々しく描いた曲とかもあって、エネルギッシュな感じとちょっとユーモラスな曲もあったりして、仕上げ方がポップにはなったと思いますね。今までのヘヴィーな精神世界な物は変わらないけど、仕上がりはポップで楽しめる物になってると思います。
松田(Dr.)――サウンド的には逆に今回は、バンド感と言うかメンバーが一個の楽器を持って、ま、勿論全然違う音も入ってますけど、歌とベースとドラムとギターと言うもので繰り出されるアンサンブルであったりテンションであったり熱であったりって言うアルバムを作りたいって言うのがあって、単純なその、サウンド的にはやっぱり『イキルサイノウ』の方がもっとこう音作りにしてもヘヴィーだし、音に関しても構築していった様な音作りだったんですけど、今回は塊感と言うのが出たらいいなーって事で、そう言う意味では、前作の方がヘヴィーだったかなと思うんですけどね。
――「ジョーカー」とか凄かったですもんね。
松田(Dr.)――ですね。「ジョーカー」とか「惑星メランコリー」とかね。今回はどっちかって言うとそう言う世界をエネルギーで吹っ飛ばせ!!みたいな感じとか、そう言う鋭角さって言うのが大事かなって。
――鋭角な部分に気を遣いつつ全体を仕上げたって事ですか?
松田(Dr.)――気も遣いましたし、バンドのテンションとかバンド感をレコーディングして行く時に、勿論色んな楽器の音も大事なんですけれど、最終的に録った時の飛び出てくる感とか向かってくる感とか、シンバルがジャギーンって鳴ってる感じとか、ギターがジョギーンって鳴ってる感・・・みんなジョーギーンとかジャギーンなんですけど(笑)
(一同笑)
松田(Dr.)――そう言うものがエンジニアの人との間では今回出て来てて、漠然とそう言うテーマはやっぱりありましたね。
――鋭い感覚だけではなく温かみをも感じるアルバムだと思いますが。
松田(Dr.)――温か味があるのもありますね。「ヘッドフォンチルドレン」とか。それもあるんですけれど、全体的な印象としてはヘヴィーな感じよりかはポップで尖った感じに聴かせたいと言うのがイメージとしてありましたね。シンプルな感じとか凄いキャッチーだなって言うのがありますね。音がクリアーだったらポップだとか、知ってる歌だったらポップだとか、ポップの観点は人それぞれ違うけれども、俺達の中では凄いポップに仕上がったなって感じですね。
菅波(Gt.)――楽しめる様にって言うところは、今までよりは意識出来たかなって言うのはあるね。
松田(Dr.)――楽しみ方みたいなのも色々ありますね。なんじゃこりゃ?って言う楽しみ方も出来るし、「墓石フィーバー」って・・・みたいな楽しみ方も出来るし(笑)ノレるわーって楽しみ方も出来るし、いい曲だなーって楽しみ方も出来るし。そう言う意味で幅広いアルバムだなってみんな言うのかなって感じたりしますね。俺ん中ではそんなにバラエティに富んでる感じはしなかったけどね。そこが色々面白いっすね。
――なるほど。先程あがった「墓石フィーバー」ですが、歌詞も凄く特徴的ですが、歌詞はいつもどう言う時に書きますか?
菅波(Gt.)――書こうと思って書きます。あのー・・・書こうと思って書けるはずです、誰でも。
松田(Dr.)――あははは(笑)
菅波(Gt.)――みんなちょっとそれは怠けてるだけじゃねーかって俺は思うわけです。
――あー(笑)なるほど(笑)
菅波(Gt.)――それは集中すれば書けると思います。
――詰まってしまっても?
菅波(Gt.)――それが出てくるまでずーっとやってれば良くて。
――ずーっとやってるタイプなんですか。
菅波(Gt.)――ずーっとやってますね、他に何をしなくても、やっていられますね。
――松田さんも書けるまでやるタイプですか?
松田(Dr.)――いや、俺は・・・あはは、追い込まれないと出来ないタイプ(笑)
菅波(Gt.)――時間的にな、期日的に(笑)
松田(Dr.)――場合によってはあれなんですけど、「夢の花」とかは結構前から蓄えておいて色々イメージが固まったりって言う感じだったんですけど、「奇跡」とかは追い込まれてやりましたね。そう言う集中力は栄純のがあるなと思いますけど。
菅波(Gt.)――その分普段は物失くしたりこぼしたりするんですけど(笑)
松田(Dr.)――それでバランスを、、プラマイゼロとかに思ってても出来ないけどね(笑)
菅波(Gt.)――それはなぁ(笑)人にこぼしたりしてるからなぁ(笑)
――人にですか(笑)それはわざと・・・?(笑)
菅波(Gt.)――いやぁ(笑)ついうっかり(笑)うっかりこぼすと、丁度下に人の頭がありまして(笑)
――でも、書けるまで書くって言うのはなかなかそんなに出来るもんじゃないと思いますよ。
菅波(Gt.)――気合です!!浮かぶまで考えればいいじゃないですか。
松田(Dr.)――考えればいいじゃないですかって・・・(笑)
――(笑)じゃ、普通に街を歩いてて、こんなフレーズいいなぁって浮かんで来るって言うのは余りないですか?
菅波(Gt.)――それもありますね。
――山田さんはどうですか?
山田(Vo.)――俺は栄純の逆って言うか、考えても同じ言葉しかグルグルしない感じなんですよね。今まで一杯歌詞を書いたわけでもないので、何も言えないですけど、でも、色んな所で考えてみますね。
――なるほど。岡峰さんは今作では書いてませんが、今後書くご予定は?
岡峰(Ba.)――無いです。
(一同笑)
――無いですか(笑)
岡峰(Ba.)――(笑)前の「キズナソング」のカップリングでは書いたんですけどね。やらないって否定はしないですけど(笑)
松田(Dr.)――得意、不得意はあるよな、正直。
岡峰(Ba.)――俺はまだ発達してないです。
山田(Vo.)――俺も発達してないっす。
菅波(Gt.)――得意な人がやればいいんだって、本当に。
(一同笑)
菅波(Gt.)――・・・やるわ、俺・・・。
――あはははは(笑)
松田(Dr.)――いちいち注文だけは付けっから、ホントに(笑)こーしてくれ、あーしてくれみたいな(笑)
菅波(Gt.)――割りと楽しいよね、注文とかも ははは。
――じゃ、相当注文をされるんですか?(笑)
菅波(Gt.)――いや、あのー、理不尽な注文は無いんですけどね(笑)
松田(Dr.)――絶対この言葉を使ってくれとか?(笑)
岡峰(Ba.)――ただ生理的に嫌だとか?(笑)
菅波(Gt.)――そそ(笑)そう言う理不尽なのは全然無いです(笑)
――なるほど(笑)。「扉」の歌詞の中で、“言葉じゃなく真実の場所で”と歌われてますが、自分達にとって真実の場所はどんなところですか?
山田(Vo.)――歌詞のイメージでですか?
――イメージも含め、自分の中で持ってるんじゃないかなと思うんですけれども・・・
松田(Dr.)――おーーーー・・・俺は、言葉って言うとこでは、うまく言葉が浮かぶ人だったり、うまく言葉で取り繕えたり、うまく自分の思いを伝えられたりって言うコミュニケーションとして言葉って言うのが自分の中で得意な分野にある人と無い人が居ると思うんですけど、俺は“言葉じゃなく真実の場所で”って言うフレーズを聞いて思い浮かぶのは、言葉にならない様な物って言うか・・・物じゃないんだけれども、気持ちだったり、一言で言い表せない様な感情って言うんですかね?まぁ、場所じゃないんですけれども(笑)どんな物でも無理くり説明しようとしたら出来るし、色々何とかこう、取り繕って出来るんだけれども、どうにもこうにもそう出来ない物って言うか、それで実感も得られなかったり満たされなかったりする物って言うか・・・。
例えば彼女と喧嘩とかしたりして、“ごめんね、ホントごめん!!”とか言っても、何も伝わらない状態で、でも俺、ホントにごめんと思ってるし、そんなに怒って欲しくないんだよなー・・・みたいなものとか、でも言葉で言っても伝わらないじゃないですか。そう言う時にこう、色々グルグルグルグルする物が、俺の確かな物であって、でもそれを伝えられないジレンマとか、伝えたいのになーとか・・・だから、言葉はとても簡単だし、うまく使えば伝えられやすいんだけど、でも真実の物って言うのはそう言う風に置き換えられない物だったりするのかなー・・・と。なので、場所ではなく、気持ちみたいな物になっちゃったんですけれども。。
――なるほど。なかなか深いですね。
菅波(Gt.)――俺はライヴやったり、ステージの上とか結構そんな感じかな・・・。うん・・・かなりこう、真実に近い状態になってる気がしますね。日常より。
岡峰(Ba.)――俺もライヴかなー・・・。考えてみたら、そーっすね。
――山田さんがこの歌詞を書かれてますけれども。
山田(Vo.)――言葉って、やっぱり便利な時もあれば選ぶ事が出来る分、伝えられない時もあれば、それ以上に違う意味を持たせてる時もあるし、絶対必要な物なんですけどね。さっきも松田が言った様に、それを超えた場所って言うか、そう言う感覚に立てる時って言うか・・・そう言う所に行きたいですね。
――歌詞の意味合いも全く同じですか?
山田(Vo.)――そうですね。
――「コバルトブルー」の歌詞では“変わらないこの世界くだらねえこの世界”と歌ってますが、実際にそう思う時ってありますか?
菅波(Gt.)――変わると思う時もありますね。あ、これ変わるわー・・・みたいな。でも変わらねーなーとか、くだらねーなーみたいなとこから、いや、でも俺は行く!・・・みたいなところに俺はロマンを感じるから・・・ロマンですね。やっぱり意志で虚しさなんて切り開いて行く!・・・みたいなのが好きですね。今更じゃん、そんな事言っても・・・って、口に出さないで行くよって言うか押してるって言うか、ちっと美学のあれですけど・・・
――美学ですか(笑)
菅波(Gt.)――ま、美学ですねそれはね、ちょっと(笑)意地みたいな所あるからね。
松田(Dr.)――あははははははは(爆笑)
菅波(Gt.)――意地みたいなとこなんだけど、要は(笑)そう言うのは俺、結構好きですから(笑)
山田(Vo.)――大分違うよね、意地って言われるのと美学って言われるのと(笑)
――あははは(笑)意地が美学になっているって事ですよね。
菅波(Gt.)――まー、そう言う事っすね。ま、時にはね。意地張ってばかりで駄目な時も良くあるんですけどね。
――なるほど。「夢の花」ってタイトルの曲にありますが、実際にもし「夢の花」と言うものが存在したら、それはどんな形のもので何色をイメージですか?
松田(Dr.)――そうですね、人それぞれですけども、それはどっちかって言うと花と言うよりは夢って言う物が咲いて、それがどう言う色に染まるかって言う、夢を花に例えてて。別にまー「夢の草」とか「夢の空」でもいいんですけど、自分なりの生まれて死ぬまでに親から授かった種だとして、自分の生き甲斐だったり目標だったり、、、。
夢って言う、要はその、小学生の頃にお菓子屋さんになりたいとか、パイロットになりたいとかって言うのとは違って、大人になってくると自分の達成感だったり、目標だったり、理想だったり、でもそこで葛藤して、本当は俺はこうなりたいんだけど、嘘くせ〜事やったり近道したりしてその目標に辿り着くのは嫌だって、不器用に行けない人もいるし、自分も本当にそれを掴みたいんだったら近道しても誤魔化しても行けばいいんだけど、やっぱりそうじゃないんだろうなーってのがあって、みんなそう言うのを抱えながら夢って言う言葉を使うとして、夢が叶うとかって言うよりも、自分なりのその目標とか、身近なところの庭に水を撒いて、自分と言うものの生まれ持った種を育てて行こうって言う・・・そうすればきっと目標であったり理想であったりって言うのも、自分色に染まってるんじゃないの?って意味合いが含まれてます。なので、無限の色ですね。
――自分で染めて行くもの、なるほど、その通りですね。アルバム・タイトル曲の「ヘッドフォンチルドレン」では“ヘッドフォンの中になんて救いはないよ”と歌ってますが、これは音楽の作り手としてはとても意味深な詞を書いたなーと思うんですが?
菅波(Gt.)――やっぱり何か、自分にとっての希望ってのは自分でしかないわけで、ただそう言う事なんですけれども。でも俺等は、作って、誰かを救おうって言うよりは、むしろ自分等が救われたいみたいな、救って救われたりとか、吐き出して楽になりたいとか、そう言うエゴもあるわけですよ。誰かの為になりたいって言うのもあるけど、自分のエゴも確実にそこには入っていて、でも、だからこそリアルな物だとは思ってるんだけども、それを実際聴いて、いいと思ってくれるのは嬉しいし、でも、それが本当にあんたにとっていいの?それで・・・って言う事も思うし、それをいいとも悪いとも言わずに書いたんですけれども。
――閉じ篭ってしまうのは余り良くないって言う意味もこめられているのかな?と思ったんですけれども。
松田(Dr.)――それは人によってはあるんじゃないですかね。
菅波(Gt.)――そう言う時だってあったっていいけど、そろそろ行かなきゃなって心のどっかで思っている時には、そろそろそれはあんたの救いにはなんないよ?って時もあるわけじゃないですか。
松田(Dr.)――あと、俺等とリスナーの関係も馴れ合いじゃいけないって言うのはありますよね、とり方によっては。もっとお互い頑張って行って、俺等もいい音楽作るし、それで駄目だったらもっといい音楽を自分で見付けて、自分の人生のパワーにして行くだろうしって言う・・・慰め合いみたいなのは嫌だよねって言うのは凄い思いますね。
――そうですね、慰め合っててもその瞬間気持ちが安らぐだけですからね。それは同感ですね。
「キズナ」ってものはどこで感じますか?
菅波(Gt.)――それこそバンドをやっていると感じる事は大分多いですね。例えば歌詞を書いて、その時は自分一人きりの気持ちなわけじゃないですか?それを自分のものとして、ドラム叩いてベース弾いて、歌ってくれる人が居るって言う事だけで、物凄いキズナを感じますね。
山田(Vo.)――そうですね、、、基本的に俺、てんぱってる時のが多いんで、あんまり感じる時が無いんですけど、ちょっと余裕が生まれた時に勿論、今喋ってる時でさえも、何かしらの関係があるわけじゃないですか。多分、色んな人もそうだし、普段気付かない所に一杯あるなーって感じですね。どう言う時と言うのは、あんまり冷静じゃ無いですけど、やっぱバンドやってる時とか演奏してる時とか終わった後には感じる時間ですね、それは。
松田(Dr.)――俺はー・・・勿論ライヴもそうですけど、他人同士が何かのきっかけで喋んなきゃいけないって言うか・・・喋んなくちゃいけないって言うのも不思議な話なんですけど(笑)なんかこー、無理矢理接点があって喋んなきゃいけない時って言うのは、やっぱこう言うのもキズナだよなーってのはありますよね。全く知らなかったのに本当にその、家族になるって言う事とか、仕事を通じて全然逢う予定も無かったし接点も無かったんだけど、何かのきっかけで無理矢理話す機会になって・・・。で、後々仲良くなった時とかに最初はあんなに無理矢理、強引だったのにねーみたいなのとかがあると・・・
――無理矢理・・・(笑)
松田(Dr.)――無理矢理(笑)結構多くないですか?(笑)
――ありますねー(笑)
松田(Dr.)――ねぇ?だって例えば、兄ちゃんが結婚するとか言ったら、その向こうの家族にも逢うわけで。兄ちゃんが結婚するなんて自分の知ったこっちゃないのに、向こうの家族とも知り合って親戚になるわけじゃないですか。そう言う事とかあって、人と人とが出逢うって言うのは、何か一個の形があってそこに集まったりするって言うのが多いのかなって思って。全然他人だったのに、出逢う運命だったんですかねー!みたいな話とかも出る位、、、、
(一同笑)
松田(Dr.)――急に近くになったりする時に、こう言うのがキズナなのかなーって思ったりしますね。
―――なるほど。岡峰さんはいかがですか?
岡峰(Ba.)――ま、家族とか友達とか、離れると、、、離れてから気付いちゃう事が多くて。そう言うのを最近は実感してきてますね。
―――なかなか離れる前には気付けませんよね。
岡峰(Ba.)――当たり前になっちゃってるからね。
―――歌詞だけ見てると、どちらかと言うと、明るいと言うよりもダークな感じが一見しますが、でもそこからのし上がる勇気みたいなものが要所要所に描かれていて、完全に真っ暗なものは無いと感じるんですよ。
松田(Dr.)――そうですね。
―――のしあがる勇気みたいなものは常にみなさん持っているものですか?
菅波(Gt.)――そりゃーもう、本能的に向かって行ってしまうんですよ、みんな。勿論堕ちて行きたいな、、、みたいな事もあるじゃないですか?それもまた欲望の中にあって、ああ、このドロドロが何かいいわーって言うのも欲望だけど、でも、どんだけ世の中をヒネて見てても、あー、ちっと、夢とか希望とか湧いてきちゃったりして、そう言うもんじゃないですかね。
―――みなさんそんな感じですか?
一同―― うーん、、ねぇなぁ。。
山田(Vo.)――でも、その周期はバラバラですね、決まってないし。堕ちた後も寝たらすっきりするかも知れないし、彼女と一緒に居たら回復すっかもしんないし・・・
松田(Dr.)――堕ちたって言うのを実感した事ねーかもしんねーな、俺・・・
山田(Vo.)――堕ちたって言うのはでも、あれですよね。色んな堕ち方ありますからね。ふてくされる堕ち方もあるし・・・
(一同笑)
山田(Vo.)――ホントにコテンパにされて堕ちる時もあるし、色んな堕ち方があります。
岡峰(Ba.)――“あります”って(笑)
(一同笑)
――でも曲を聴いてると、のし上がる事だけは忘れないって言う気持ちだけは伝わってきますね。
山田(Vo.)――俺等は吐き出す場所が多分あるから、自分もやって行けてんのかなって言う感じはしますね。それを何か置き換えて作品にするって言うのはやっぱりスッキリする事だと思うし。それが出来ない人とかも世の中には多分居ると思うし、そう言う奴の背中を押してあげられる様なアルバムになりました・・・とか言って(笑)
(一同笑)
菅波(Gt.)――ま、そうだよな。
――アルバム全体的にいつも曲順は練りますか?「キズナソング」の様なバラード系の楽曲を何曲目に持ってくるとか・・・。
松田(Dr.)――そうですね、色々曲順も結構練ったんですけど、「キズナソング」はやっぱりアルバムを作って行く中で普通にスーっと入ってくる様な曲で、何も考えずに聴いてもこれはいい!!って言う様な曲が欲しいって言うので生まれたので、それがある種こう、ドラマチックに響く様な曲順に最終的になりましたね。勿論前半の方に来て何気なく終わるのでもいいんですけど、やっぱりこの曲の壮大なイメージとか、クライマックス感て言うのをアルバムの中でも出したいってのがあって。でもそれからまた新しい違う光が見えてきたって言う所にアルバムが進んで行って終わるのが今回の聴き所でもありますし、新しい所でもありますね。
――「扉」から始まって最後「奇跡」で終わるじゃないですか?イメージ的にも扉を開ければ奇跡が何かしら見えるよ、、、って言うメッセージ性もこめられているのかなって思ったのですが?
松田(Dr.)――ま、そうですね、、、扉を開けたら色んな人間模様があるよって言う方が正しいかなー・・・正しいって言うか、そう言う印象がデカイですかね。あんな扉やこんな扉があって、でも最後は「奇跡」って言う扉で、白くてこんなだったよ、みたいな。
――白ですか?
松田(Dr.)――そうですねー。白ってイメージが曲に関してはありますけど、、、白ですね。
――アルバム・タイトルでもある楽曲「ヘッドフォンチルドレン」に、敢えてバックホーンが奏でるサウンドと言うよりは、今までと違ったミディアム・テンポなスカ調の楽曲ですが、これはどんな意図が?
菅波(Gt.)――あの、一番日常の温度に近い記憶って言う位置づけなんですよ、俺等の中での「ヘッドフォンチルドレン」て言うのは。で、俺達の日常の温度って言うか、そこから踏み出して行くわけで、円の中心で良かった・・・って言う・・・
松田(Dr.)――で、新しく感じる曲の方が今回はこんなアルバムだぜって言う意気込みがあるって言うか、18番がアルバム・タイトルになっちゃうのもいいんですけど、今回は俺等ん中で、もうちょっと新しい方向性が無いかなって探った3曲が後半に入ってるんで。
やっぱりそっちの方が、これどうよ?みたいな感じになれるのもあって、そう言う意味では戸惑いは全然無かったですね。
――やっぱり楽曲のテンポにはこだわりありますか?
松田(Dr.)――ありますね。歌が歌いやすいテンポとか、あと、その曲のイメージであったり世界観がどれ位の鼓動なのかって言うのもあるし、自分達が演奏しやすい感じとか、もしくは無理してもうちょいあげてムキになってる感じがいいとかね。色々あるけれども、テンポとキーは毎回考えるね。今回は結構速目かなってのはありますけど、全体的に。
――山田さん的には歌いやすいテンポとかありますか?
山田(Vo.)――うん、、、リズム隊のテンポは速くても、音の譜割とかに速くていい曲と、実際後ろが速くてもその倍のテンポで歌の音符が行ってる時もあるし、こん位が歌いやすいなーみたいな話はしますね。速くても遅くてもいいですけど、遅すぎたところで後ろがもったりするのは嫌だし、バランスですね。
――アルバム製作時、一番時間をかけた所はどう言う所ですか?
菅波(Gt.)――「ヘッドフォンチルドレン」は自分等でも新しい曲だと思ったし、「ヘッドフォンチルドレン」って言うテーマでもあったから、ベーシックなアレンジは基本的な事をやっているんだけど、音をどれ位入れるかとかはかなり吟味しましたね。効果的にそれぞれの音を効かす・・・みたいな事は結構やりましたね。
――レコーディング中に自分達の物以外に聴いていた音楽ってありますか?
菅波(Gt.)――俺は、試聴コーナーでもあんまり聴かない物も聴く様にしましたね。好奇心と言うよりは、巷でどんなのが流行ってんのかなとか、初めて、試聴で分析したりしましたね。別に役に立たなかったですけど。
――(笑)そうですか。ライヴも見させて頂いてますけれども、山田さんとかすんごい動くじゃないですか、回ったり。でも倒れたりとかしないし、必ず定位置に戻ってくるのは凄いなと単純に思ったりしちゃうんですけども(笑)
山田(Vo.)――モニターがあるからじゃないですかね。今言われて想像したら格好悪いなーとか思った(笑)
――いえいえ、あれは凄いなと思いますよ。激しく回った後に定位置につけるって平衡感覚とか色々あると思うんですけど(笑)
山田(Vo.)――そんな平衡感覚失う動きとかはしてない(笑)モニターの前に意識して自然に戻ってるんだと思いますね(笑)
――見てる側としては、結構動いてるのも印象的なのですが、毎日何かトレーニングしてる事とかあるんですか?
菅波(Gt.)――そんなに思ってる程凄くないですよ(笑)
山田(Vo.)――動きリハとか無いっすから(笑)
岡峰(Ba.)――自分で鏡見て?(笑)
(一同笑)
――まぁそうですよね(笑)山田さんは激しく動きつつ、歌声もとてもパワフルですけど、枯れてしまったりはしませんか?
山田(Vo.)――枯れますよ。枯れる日のが結構多いですね。枯れるまで歌いますからね。昔は出なかったですけど、枯れちゃって、歌いきれなかったですけど、そこらへんはある程度コントロールしますけどね。
――喉に気を遣ったり特別にしてますか?
山田(Vo.)――ライヴツアー中とかは気遣いますね。でも何も無い時はやりたい放題。煙草吸いまくり、酒呑みまくり(笑)
――(笑)なるほど。ライヴ中に実は演奏するのが大変!!って言う曲はありますか?
山田(Vo.)――「コバルトブルー」じゃないの?正に、2人は。
松田(Dr.)――「コバルトブルー」と「ジョーカー」じゃね?
―― あはははははは(一同笑)
松田(Dr.)――「ジョーカー」とか大変ですよー。
――今年は夏フェス制覇のご予定は??
菅波(Gt.)――それはもー・・分かりません(笑)
松田(Dr.)――俺等が出たいって言っても向こう次第みたいなとこもあるんで(笑)出来れば・・・
全員―― 出たいです!!!
――今までに出たフェスティバルの中で一番印象に残ってるのはいつですか?
松田(Dr.)――インディーズの頃に出た、フジロックですかね。
―― あははははははは(一同爆笑)
松田(Dr.)――客がゼロだったって言う・・・(笑)ゼロじゃねーな?6人位居たかな。フジロックで6人位って言うのは凄い印象に残ってます(笑)
山田(Vo.)――内、4人は友達ってね(笑)
松田(Dr.)――あと、PEALOUTを早目に来て待ってたのが2人位居たんですけど(笑)
―― あははははははは(一同爆笑)
松田(Dr.)――まぁ、フェスはどれも色んな味があるんで、これと言ったのはあんまり無いんですけど、どれもその場毎に良さみたいなのはありますね。
――「キズナドラマ」についてちょっとお聞かせ頂きたいんですが、実際自分達の楽曲からストーリーが生まれるって言うのは嬉しい反面・・・?
菅波(Gt.)――嬉しい反面、自分ももっと仕事しなくていいのかなって心配。
松田(Dr.)――あー、それはあるね。
菅波(Gt.)――俺もやりたい、働きたい、、、みたいな。
松田(Dr.)――お願いしてばっかでいいの?みたいな。
菅波(Gt.)――何かお手伝いすることないですか?みたいなね。
松田(Dr.)――基本的気にあんまりやられんのって好きじゃないのかもね。こっち側からやる方が好きだみたいなのはあるかも知れない。申し訳ない、みたいなね。
――好きなストーリーはありましたか?
菅波(Gt.)――あの、家族のやつとかジワーンと来ましたね。
松田(Dr.)――やっぱシュールだよね。3分半て言う短い時間の中だしね。
菅波(Gt.)――キズナって言うと大袈裟な物に捉えて敬遠しがちって言うか、愛って言葉も一緒ですけど、そうじゃなくて、ホントささいな所にあるよ・・・って言う作りになってますからね。
――尊敬するアーティスト、もしくは好きなアーティストはおりますか?
山田(Vo.)――何かって言うと難しいよね。
松田(Dr.)――難しいね。ドラマーだと、ブランキーの中村達也さんとかの野性的なところも好きだし、レディオヘッドのドラムの、すげー寡黙に、顔も、ずっと同じ目線でドラム叩いてるのもカッコイイと思うし、色々ですね。
山田(Vo.)――うん、色々だね。
――なるほど。そう言えばオフィシャルサイトに松田さんが描いた山田さんのイメージ画が掲載されてますが、顔に縦線が入ってますよね(笑)あれは絵心が出てるなーって結構好きなんですが、当時どんなイメージを持ってああ言う画を描いたのですか?
山田(Vo.)――暗い奴に見えてたんだよ・・・(笑)
松田(Dr.)――そん時はそう言うイメージがあったんでしょうね(笑)今は違いますけど(笑)なんか、その人のキャラみたいなのを上手く描いた方がいいのかなって思って・・・(笑)デフォルメして描いてたんですけどね(笑)
(一同笑)
――そうですか(笑)とてもいい画だと思います。私は好きですね。では、最後になりましたが、ファンの皆様にメッセージをお願いします。
松田(Dr.)――『ヘッドフォンチルドレン』は、バックホーンと言うエネルギーがテンションとして入っている物だと思うし、人によってはバラエティのある・・・って捉える人もいるだろうけど、俺等の中ではプラスのエネルギーが入っているあルバムだと思うので、これを聴いてもらって、俺も何か出来るかも知れないなーって思ってくれたら嬉しいなと思います。なので聴いて下さい。
菅波(Gt.)――それだな。
――言い残しは無いですか?
山田(Vo.)――うん。それ以外に言う事はきっとどーでもいい事だな(笑)
菅波(Gt.)――だな(笑)
――(笑)分かりました。どうもありがとうございました。
(取材・磯山みゆき)
■「ヘッドフォンチルドレン」